2017年06月24日

【本】鈴木忠平「清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実」

「清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実」 鈴木忠平/文藝春秋/2016年

 PL学園当時の清原和博と甲子園で対戦し、ホームランを打たれた投手らによる回想録。

 1983年から85年にかけて、甲子園で清原に本塁打を打たれたピッチャーら11人が、当時の勝負の思い出や現在の清原への思いを述懐した本である。本塁打を打たれたという、必ずしも愉快ではない記憶に関するインタビューでありながら、一名(マスコミとの接触を一切断っている中山裕章)を除く全投手が取材に応じた事実を見ても、清原という大打者との対戦が、投手の側にとっても大きな意味を持っていたことが分かる。

 それぞれの投手たちの追想を読むと、清原と全力で対戦し敗れたことで、すっかり気持ちの整理がついている者もいれば、選手起用の綾で清原とまともに勝負することができず、現在まで後悔を引きずっている者もいるなど、投手たちにもさまざまな思いがあることが見て取れる。中でも、勝負すべき時に勝負できなかったことに関して、30年経っても消えない未練を述べたある投手の執念には、ちょっとした恐ろしささえ覚えさせられた。

 個人的には、清原という選手はずっと好きになれなかった。高校・西武時代はともかく、巨人時代に、相手投手に対してストレートを投げるよう恫喝した姿は、プロの野球選手としては到底あるまじき態度だと思った。また、オリックス時代の、およそスポーツマンとはかけ離れた風貌には、率直に言って嫌悪感しか抱くことはできなかった。

 しかし、本書を見ると、清原と対戦した投手たちには、かなり過酷なプレッシャーがかかっていたことがよく分かる。一試合でのみ清原と向き合った投手たちがこんな状態であれば、毎試合、いや試合の外でも凄まじい注目にさらされ続けた清原には、一体どれだけ深刻な重圧がかかっていたのだろうか。本書にも描かれているように、元々気さくで親切な性格だった清原が、苛烈なプレッシャーの中で、やがて人として疲れ果てたとしても、そのことを厳しく糾弾したい気にはなれなかった。本書を読み終えた今、清原和博という人物に対して抱くのは、ただ同情の思いと、更正への願いばかりである。


posted by A at 21:00| 本(ノンフィクション) | 更新情報をチェックする