2009年03月07日

【本】モスモス編集室「モスモスサーカス」

「モスモスサーカス」 モスモス編集室/リトル・モア/1996年

 「モスモス」という小雑誌をご存じだろうか。1990年代前半ごろ、モスバーガーが店頭で無料配布していたささやかなPR誌だ。広報目的の冊子のはずなのだが、そのコンテンツは妙に充実していて、各地のモスバーガー店舗・スタッフの紹介に始まり、各店に通う常連さん紹介、不思議な芸術作品群、ちょっと切ない人生相談、いがらしみきおの連載漫画、そして何より、ありとあらゆるテーマに対する愉快で秀逸な読者投稿の数々と、毎回読んでいて飽きない内容だった。当時中学生だった私は、この盛りだくさんの中身が詰まった小冊子をタダで貰ってくるのが何となく申し訳なくて、豊かとはいえない小遣いのなかからいつもバニラのシェイクを1つだけ買って、「モスモス」をもらって帰ってきていたことを憶えている。

 1991年6月から1996年3月まで足かけ6年に渡り刊行され、一時は発行部数が80万部にも達したというこの伝説のPR誌「モスモス」のエッセンスをより抜いて編集したのが、96年末に出版された「モスモスサーカス」だ。今見ても随分シュールで濃い、そしてどこか懐かしい世界が広がっている。この本に関わった人たちの中から、その後クリエイターを職業とするようになった方々もいるのだそうだが、それもうなずける気がする。

 「モスモス」が姿を消して、もう10年以上が経つ。けれども、今でも時々、このささやかな小冊子のことを思い出すことがある。一度あった復活の話もいつのまにか立ち消えになってしまったらしいけれど、もしまた近所のモスバーガーで「モスモス」的なものに出会えるようになったら、今度はちょっと立派なハンバーガーでも奮発して、ゆっくり眺めてみたいと思っている。 
 
posted by A at 23:34| 本(その他) | 更新情報をチェックする